看護職員の勤務環境の向上にむけて-モチベーションから見た組織マネジメントの可能性- (2)

3.看護職員の就業率と離職状況について

 看護職員の年齢階層別就業率を見てみると、20代後半から30代にかけて急激に就業率が低下しています。また、50代後半を過ぎると、さらに一気に就業率が低下します。

 看護職員は、「適切な教育を基盤に就業を継続することで知識や経験が集積され能力を高めていく職種である」とされていますが、実際は、看護有資格者のうち約30%に当たる71万人が潜在看護職員として埋もれている状態にあると言えます。(図3)

看護職員の就業率

※図3:公益社団法人日本看護協会『看護職の終業継続・再就業促進のために考えておくべきこと~少子超高齢社会の人材確保を考える~』(2016年7月14日・日本医業経営コンサルタント協会継続研修会資料)より転載

 このような貴重な労働力が多数埋もれている現状が生じている背景を考察するために、看護職員の離職理由に関するデータを見てみます。
 図4のように看護職員の離職理由としては、妊娠・出産、結婚、子育て等の個人的状況による理由も大きな要因となっていますが、超過勤務が多い、夜勤の負担が大きい、責任の重さ・医療事故への不安、休暇が取れない等といった職場環境に関する理由も大きな要因となっており、これが復職を困難にしているひとつの要因としても考えられています。

看護職員の離職理由※図4:公益社団法人日本看護協会『看護職の終業継続・再就業促進のために考えておくべきこと~少子超高齢社会の人材確保を考える~』(2016年7月14日・日本医業経営コンサルタント協会継続研修会資料)より転載
 
 日本医療労働組合連合会による2015年度夜勤実態調査結果によると、16時間を超える長時間夜勤は、調査総数447施設・3259職場のうち急性期・高度医療の病棟を中心として、5割を超える職場で行われています。2008年の日本看護協会の調査では、交代制勤務につく看護職員の23人に1人が、月60時間を超える超過勤務を行っていたとの結果もあります。
 夜勤交替制の過重負担、時間外労働の増大、休憩時間が取れないこと等の理由により、健康面における不調を訴える看護職員も多く、日本医療労働組合連合会の調査によると、慢性的に疲労が残っていると回答した看護職員が73.6%にも上るという結果も出ています。このような心身ともに疲労が蓄積した状態での勤務が続くことは、業務中のミス発生への不安や懸念を大きくさせることに繋がります。2008年の日本看護協会の調査では、慢性疲労の自覚症状が増えるにつれ、業務中の事故に対する不安を抱える割合が高くなるとの結果もあります。医療事故に対する不安や看護職員という職責に対する責任の重さが重圧となる状況が、仕事に対する意欲(やりがい)にも影響を及ぼし、看護職員の離職と復職の難しさに繋がることで、慢性的な看護職員不足によるさらなる職場環境の悪化を招くという悪循環を引き起こしていることが実態となっています。

 次回は、看護職員の勤務環境を改善するために、どのような取り組みが行われているのかについてご紹介します。