働きがいある魅力ある組織づくり~職場環境改善のための組織マネジメント(2)~

魅力ある組織

2.働きがいある魅力ある組織づくり
 
日経メディカルの記事(成功医院交流会リポート2016/5/9)によると、ある大手自動車メーカーグループの中で、最も顧客満足度が高く、注目を集めている販売店があります。
 その販売店は、職員が働く喜びや幸せを感じる企業ということで、2015年に第1回ホワイト企業大賞を受賞したり、日本経営品質賞も受賞しており経営の仕組みもトップクラスだそうです。その理由を探ると、職員の「人財力」の高さにあり、その「人財力」が、高い業績と顧客満足度を維持する要因になっているそうです。

 では、職員に働く喜びや幸せを感じてもらうには、どうすればいいのでしょうか。それは、給料の高さや休日の多さといった目にみえる労働環境ではありません。たしかに、給料や休暇が多いと職員は満足します。しかし、それは一過性の満足であって、働く喜びや幸せには繋がりません。職員が仕事でのやりがい(働きがい)を感じることで、顧客に対して「プラスα」の質の高いサービスを提供することができ、顧客に喜んでもらった結果として幸せを感じることができるのです。
 「働きがい」のある魅力ある組織づくりのためには、組織がそのような機会をどれだけ職員に提供できるか、ということではないでしょうか。これらは、一般企業のみならず医療機関等、どの組織でも言えることです。

続いて、医療機関で働く職員の働く喜びや「働きがい」に繋がる職員満足度の高め方についてみていきます。

3.職員満足度を高める「プラスα」
 
激変する医療を取り巻く環境を乗り越えるには、まず、医療機関がそれに対応した具体的な目標を設定することが必要です。医療機関がきちんとしたビジョンを立て、個々の職員がそれに応じた実現可能なビジョンを立てることで医療機関全体の方向性が定まります。そして、患者満足度を向上させることです。
 その患者満足度を向上させるためには、まず、職員の働きがいやチームワークを改善し、職員満足度を高めることです。そうすることで、職員のプロ意識、連携意識が高まり、患者に対してより質の高いサービスを提供することができ、ひいては、患者から選ばれる医療機関になります。
 しかし、職員の患者に接する態度や仕事に対するやる気(働きがい)は、お金では買えません。そこで、職員満足度を高める「プラスα」について、「プラスα」とは、どのようなものか、考えてみたいと思います。

 それは、古くて新しい患者の「納得」と「満足」を得ることです。「納得」とは、他人の考え方や行動など十分に理解して得心することを言い、「満足」とは、不平不満がなく心が満ち足りていることを言います。
 例えば、ビジネスホテルのサービスは、快適な空間と時間を顧客に提供することが目的で、コンシェルジュは、それをさらに快適にするための「プラスα」と言えます。また、一流ホテルのサービスの目的は、顧客の「期待を超える」ことで、顧客の期待を大きく超えれば、それは「満足」から「感動」に変わり、逆に期待に届かなければ、「失望」に変わります。

 一方、医療サービスの目的は、患者の生命と健康を守るため、質の高い医療を安全に提供すること、いわゆる患者の治療であり、対象は患者本人の健康です。ある意味、当然といえば当然であり、患者の期待を超えることは困難です。なぜなら、医療サービスは予測不可能であり無形だからです。その見えない部分に、時には患者からの理不尽な要求にも応えなければならない状況にあります。そういう意味では、医療現場は医師や看護師の犠牲で成り立つブラックな世界といえるでしょう。
 しかし、今や「治療すればよい」という時代は終わりつつあり、医師や看護師を含めたスタッフの接遇やコミュニケーションスキル、医療機関内の快適な時間と空間の過ごし方を提供しなければ、患者の「納得」と「満足」は得られません。コミュニケーションスキルや接遇などは、一流ホテルのサービスに学ぶべきでしょう。

但し、サービスの形だけ真似しても決して患者満足度の向上にはつながりません。

大切なのは「心」であって「プラスα」のサービスを自分達にできる範囲で最大限に提供することで、待ち時間が長くても患者の「納得」を得ることができ、また、患者の期待を超えるサービスを提供することで、「満足」から「感動」を与えるというものです。患者の喜びが職員の働く喜びや幸せ、仕事のやりがいに繋がるのです。

 特に医療機関は、多職種協働によりサービスが提供されるため、一般企業と比べても、一層強固な仕事そのものへの満足感が必要になります。医療従事者は専門職であるが故に、一人ひとりが「プロ」としての自覚と責任感をもって業務に従事することが重要となってきます。自分の成長が、医療の質向上や患者満足度の向上につながる、こんなモチベーションが上がることはありません。職員の仕事そのものへの満足感(働きがい)が患者満足度の向上へと繋がり、その好循環が結果として、患者から選ばれる医療機関となり、病院に利益をもたらします。つまり、職員が生み出す様々な価値が、病院の評価に繋がり他病院との差にもなるのです。

従って、医療機関という組織においては、
① 職員を大切にして、育てていくこと。
② それによって良い医療を提供できるようにすること。
③ その結果として数字がついてくること。

以上のような経営の本質を追求することの大切さ、プロセスを考えることが必要となってくるのです。(前掲「成功医院交流会リポート」より、①②③引用)

 では、医療機関という多職種協働の組織とは何か、次回は、組織マネジメントの重要性についてみていきます。