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では、前回に続いて、院内事故調査の手法について解説します。
2.医療事故調査の手法
病院等の管理者が、院内事故調査を実施するに当たっては、医療法施行規則第1条の10の4第1項に規定する以下の7項目のうち「医療事故調査を適切に行うために必要な範囲内で選択し」、「原因を明らかにするために、情報の収集及び整理を行う」ことになります。
◆医療法施行規則第1条の10の4第1項では以下のように規定されています。
1)診療録その他の診療に関する記録の確認
2)医療従事者からの事情の聴取
3)前号に規定する者以外の関係者からの事情の聴取
4)死亡した者又は死産した胎児の解剖
5)死亡した者又は死産した胎児の死亡時画像診断
6)医療の提供に使用された医薬品、医療機器、設備その他の物の確認
7)死亡した者又は死産した胎児に関する血液又は尿その他の物についての検査
これら7項目に、診療録の確認や関係者等の事情聴取、検体検査、解剖や死亡時画像診断(Ai)も対象となっています。つまり、「解剖とAi」は、本制度で義務づけられた院内「事故調査の手法」に位置づけられるということになります。
しかしながら、これらは、必須ではありません。従って、現時点における今回の制度では、すべての死亡事例に対して、解剖およびAiを実施しなければならないことにはなっていないのです。
しかし、解剖やAiは死因の究明にとって有用な情報が得られる調査方法であり、亡くなった原因や、その原因と診療行為との関連性などが推測できる可能性があります。
次回は、解剖とAiについて解説します。