3 派遣先が知っておきたい2015年改正Q&A
ここからは、Q&Aの形式で見ていきたいと思います。以下のQ&Aは、上に述べたポイントのどれかに必ず関係する内容です。
<新たな期間制限の導入に関するもの>
以下の項目はすべて有期雇用派遣労働者の期間制限に関するものです。
【個人単位の期間制限‐課の変更‐】
Q:「課」が変われば別の仕事という扱いとの事ですが、例えば、医事課管轄で「未収督促業務」「施設基準事務補助業務」など5業務ほど契約を交わしている場合、担当者の業務を3年ごとに変えて継続契約が可能でしょうか。
A:派遣先の「組織単位」とは、改正派遣法、厚生労働省令、派遣先指針にある規定からまとめると、想定されているのは課です。
ただし、部門の名称にとらわれることなく実態から判断することになるとされており、改正前の基準であった「同一の業務」より広い概念であるとされています。
よって、業務が異なっても医事課という課単位が同じであるので、「同一の組織単位」に該当することになり、個人単位の期間制限によって3年間を上限とする制限に服することになります。上記の質問において、担当者の業務を3年毎に変えて継続契約をすることは認められません。
【事業所単位の期間制限‐過半数労働組合等の意見聴取‐】
Q:同一の事業所において、3年を超えての受け入れのためには、過半数労働組合等からの意見聴取が必要とありますが、そもそも労働組合がない会社の場合、意見聴取はどうすればよいのでしょうか。
A:過半数労働組合を持たない事業所の場合は、過半数を占める労働者の中から選出した労働者代表の意見を聴取することになっています。
選出の手続きは、以下を守らなければなりません。
①監督又は管理の地位にあるものでないこと
②意見を聴取する者を明らかにして実施される投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出されたものであること
選出は労働者が行い、使用者が指名するというような関与は認められません。人数については特段の定めはないので、1名以上の過半数代表者が選出されるということになります。
次回は、期間制限の起算点に関する質問や、新たな期間制限以外の項目についての質問について解説いたします。