マイナンバー制度まとめ~医療分野での利用範囲~

緑今回は、マイナンバー制度「まとめ」として、医療分野での利用範囲について解説します。

◆医療分野での利用範囲
政府は、個人番号カード1枚で、社会保障を受けたり、税金の還付を受けたり、さらには医療サービスにおける健康保険の支払い手段にも使えるようにしたいという考え方で、個人番号カードを健康保険証の代わりにも使えるようにしようという計画です。
しかし、昨年11月に三師会[1]) が声明を発表し、個人番号カードへの健康保険証の機能の取込みに強い反対を表明しました。機微な医療情報を管理する番号が、悉皆性をもち唯一無二の番号であれば、「過去から現在治療中の病気、死後にいたるまで紐付けできることになる」と指摘し、疾病などの情報は他人に知られたくない可能性があるため、マイナンバー制度の「個人番号」とは異なる医療分野専用の番号(医療等のID)の必要性を求めています。したがって、医療分野では、現在、以下の2つの医療情報に限ってマイナンバーの利用が認められています。

① 自治体が扱う予防接種の記録
月齢に応じて受ける乳幼児の予防接種記録を転居の際に市区町村が引き継ぎやすくなります。
② 健康保険組合による被保険者の特定健康診査情報(メタボ健診)の管理
被保険者の転居や退職による異動時に特定健診の情報を保険者間で引き継ぎやすくなります。

国民にとっては、不正使用や情報漏えいの懸念がない「安全安心」な仕組みとして当該制度を利用できるよう期待したいです。
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[1]) 日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会

筆者のつぶやき~****************************

「お届けします。1人に1つマイナンバー」など、マイナンバーについてのCMが公開されていますが、ほんの数秒のCMでは、マイナンバーっていったい何なのかよくわからないという声を耳にします。
マイナンバー制度は、個人情報を保護しつつ利用しやすくするための新しい仕組みであり、税の不平等是正に一役かう仕組みです。認知度が高まらないままでは、行政サービスの向上と行政事務の効率化を目指した画期的な新制度の存在価値が揺らぎかねません。また、企業の対応が遅れれば、せっかく行政側のシステムをスケジュール通りに稼動させても、制度として機能しない恐れもでてきます。
マイナンバー制度が始まれば、政府の電子化が加速する一方で、パソコンやスマートフォンなどで、あらゆる手続きが実現する可能性があります。こうした便利さを実現するには、まずは国内の全企業(民間事業者)がマイナンバーを安全に扱う体制を整えなければなりません。民間事業者自身が、来るべき未来の一翼を担う気概が必要でしょう。
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編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あっという間に桜の季節が終わり、緑がまぶしい新緑の季節となりました。
が、これも、あっという間。もうすぐうっとおしいいや~な梅雨に入ります。
季節の変わり目、風邪をひきやすい時期でもあります。
患者にとっての風邪は、「無理をしてでも大丈夫な軽い病気」ですが、
医者にとっての風邪は、「無理をしたら肺炎や腎炎など命取りになることもある怖い病気」
だそうです。
何よりも風邪をひかないよう、うがいや手洗いを徹底して予防することが一番大事ですが、
ひいてしまったら「風邪くらいで休めない」などと無理しないで、しっかり休養をとってくださいね。
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