マイナンバー制度の仕組み(特徴)ーマイナンバー制度開始に向けてー

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今回は、マイナンバー制度とはいったいどのような仕組みなのか、制度の仕組みについて
その特徴を、総務省公表資料を基に解説します。

◆マイナンバー制度の仕組み(特徴)
マイナンバー制度は、付番、情報連携、本人確認という3つの仕組みで構成されています。
詳しくみていきましょう。

1.付番(番号付与)の仕組み
① 悉皆性
住民票を有する全員に1人に1つ、新生児にも番号が付与されます。外国人も例外ではなく、
3カ月を超えて在留する場合にはマイナンバーが配られます。
海外に在住している人は、国内に住所を移した後に番号が付与されます。

② 唯一無二性
1人1番号で重複の無いように付番。

③「民-民-官」の関係で流通させ利用可能な視認性(見える番号)
「民・民・官」とは、それぞれ「個人・企業・行政」を指します。
まず、「個人」が自身のマイナンバーを「企業」に伝え、企業は自社の従業員の情報を「行政」にしか伝えてはいけないということを意味します。

例えば、以下のようなイメージです。
●「個人」から「企業」へ
所得税や住民税の納税手続きにマイナンバーが使われるため、会社員などはマイナンバーを勤務先に伝えなければならなりません。

図①

●「企業」から「行政」へ
勤務先は、源泉徴収票に従業員とその扶養家族全員のマイナンバーを記載し、税務署や自治体に提出します。

 図②

④ 最新の基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)と関連付けられている新たな12桁の「個人番号」を付番。
「個人番号」については①~④、法人等については①~③の特徴を有する13桁の「法人番号」が付番され、個人番号は各市町村から、法人番号は国税庁から通知されます。
尚、個人番号については、社会保障分野、税分野などに利用範囲を限定して導入されますが、法人番号については、広く一般に公表されるものであり、官民問わず様々な用途で活用が可能とされています。

2.情報連携の仕組み
複数の機関間において、それぞれの機関ごとに管理している同一人の情報を紐付けし、相互に活用する仕組みとなっています。ただし、各機関の情報連携はマイナンバーそのものではなく、コンピュータしか認識できない数百桁の記号である機関別符号を利用します。

3.本人確認の仕組み
① 個人が、自分が自分であることを証明
② 個人が自分の個人番号の真正性を証明

◆今後のスケジュール
これらの特徴をもつマイナンバー制度の施行は、2015年10月の住民への個人番号の付番・通知の開始からになります。

具体的には、今年10月から1人に1枚「通知カード」という紙製のカードが、簡易書留で住民票の住所地へ、世帯単位に送られてきます。
通知カードの券面には氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)とマイナンバー(個人番号)が記載されています。

図③

また、来年1月以降、希望者には、簡易書留に同封される「個人番号カード交付申請書」を利用して、ICチップを内蔵し顔写真が表示されたプラスチック製の「個人番号カード」の交付を受けられることになっています。

図④

図⑤

こうして今年10月に通知される個人番号や法人番号は、来年1月から利用開始となるため、国内の全企業は、その準備が必要になります。

例えば、マイナンバー制度がスタートすると、源泉徴収票には従業員(パートやアルバイトを含む)とその扶養家族の個人番号、企業の法人番号の記載欄が追加されることになっています。と、いうことは、企業は、これだけの情報を集めないと、源泉徴収票を作成できないことになります。
また、講演料や謝金といった、社外の人に支払った報酬など、支払い調書にもマイナンバーを記載しなければなりません。
このように、企業は税務や社会保障の決められた書類にマイナンバーを記載する義務を課せられる一方で、自社の従業員や取引先等の協力を得て、マイナンバーの提供を受けなればならない立場にあります。

つまり、マイナンバー制度開始で関係するのは行政機関だけでなく、実際は、民間事業者の企業活動への影響が大きいということになります。

では、どのような影響があるのか
次回は、その影響と注意すべきポイントについて、解説します。