医療制度改革総まとめー2025年はもう始まっている!ー
カテゴリ:
タグ:

病床機能報告-はじめに-
いよいよ病床機能報告制度が始まりました。
各病院・有床診療所は、11月14日までに、自院の病床機能の「現状」と「今後の方向」を、病棟単位で
都道府県に報告しなければなりません。
過去最大の改正といわれた第五次医療法改正から約8年、着々とそして矢継ぎ早に、医療制度改革が進展
してきた中、先の通常国会で「医療介護総合確保推進法」が成立し公布されたのは周知の通りです。

同法は、医療法、介護保険法など、医療・介護分野の制度改正に絡む19の関係法律の整備を一括して
行なう法律で(それゆえ「医療・介護一括法」ともいわれる)、内容は非常に盛りだくさんです。
同法の成立により、医療法が改正され(第六次医療法改正)、10月1日に施行されました。
この改正医療法の柱となっているのが、病床機能報告制度と地域医療構想の策定で、2014年度診療報酬
改定でも、病床機能報告制度を睨んだ改定となり、急性期病床の絞り込みに大ナタが振るわれました。

本稿では、医療法改正の全体像を概観し、第六次医療法改正のポイントを、病床機能報告制度を中心に解説
するとともに、今後、病院経営にとって重要なテーマとなる医療制度改革のスケジュールを今一度おさらい
したいと思います。

そもそも医療法って何でしょうか…。

医療法とは?
国民の健康保持に寄与することを目的に、人的・物的両面にわたって、医療の提供体制に関する一定水準以上の維持向上を図るために制定された強行法規[1])です。

まず、なぜ医療法が制定されたのか、その背景をみてみましょう。

医療法制定の背景
終戦当時の日本は、食事も入浴もままならず非常に不衛生で、疫病などの感染症が流行しても、治療する医療機関、医療従事者は限られており、医療供給体制はまさに壊滅状態でした。

この感染症等の急性疾患が中心の時代に、公衆衛生上の観点から、医療へのフリーアクセス確保のための医療機関、医療従事者の量的な充実が急務となりました。そこで、医療水準の確保を図るため、病院の施設基準や人員配置基準などを整備し、医療供給体制に関する基本的な法規として、昭和23年に制定されたのが医療法です。

このように、公衆衛生上の観点から、医療機関、医療従事者の量的な充実を図るという背景のもと制定された法律なので、医療法制定以降、医療機関を取り巻く環境では「自由放任制度」が踏襲されてきました。

ところが、昭和55年に入り医療機関の不祥事(富士見産婦人科事件)が生じ、世間から、医療法人に対する指導・監督のあり方や、医療供給体制の整備を求める批判の声が高まり、それまで自由だった病院の開設に対して歯止めがかけられることになりました。
実に、医療法制定から約40年を経て、大きな改正(第一次改正)がなされることになったのです。

次回は、医療法第一次改正の契機となった富士見産婦人科事件とは、どんな事件だったのか、その概要をみていきます。


[1]) 強行法規とは、「法律の規定のうち公の秩序に関わる規定で、当事者の意思によってその適用を排除できない規定のこと」をいいます。(大辞林 第三版)