平成26年度診療報酬改定・DPC (3)
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メディカルタイムス7-3図 (1)

4.機能評価係数Ⅱの見直しについて

平成26年改定における機能評価係数Ⅱの基本的な考え方については、「平成24年度改定における考え方を引き続き維持する」、としながらも以下の見直しが行われました。

 メディカルタイムス7-3図 (2)

①  保険診療指数

「データ提出指数」から「保険診療指数」に名称が変更となりました。厳格化が予想されていた「部位不明・詳細不明のICDコード(いわゆる「.9コード」※注1)の割合について、標準病名マスターが対応していないことが原因で一定程度発生してしまう可能性があり、現時点では医療機関の努力のみで解決が難しい点もあることから、現在の「20%以上」という基準をより厳しく設定するのは妥当ではない、とされ据え置かれました。

また、

・新たに退院患者調査の様式間で矛盾のある記載があるデータが1%以上の場合減算となる

・入院のレセプト(医科レセプト、DPCレセプト)において、未コード化傷病名の使用割合が20%以上の場合減算となる

・Ⅰ群病院において規定の手順により指導医療官を一定期間出向させた場合加算する

評価が新設されました。

 

※注1 .9コード

「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」において部位不明、詳細不明の場合末尾に9が付番される事からこう呼ばれる。部位不明、詳細不明に分類される病名は統計上正確な分類が出来ず好ましくない、とされる。(例:詳細な病名⇒上行結腸癌、部位不明な病名⇒大腸癌、など)

 

②  効率性指数

③  複雑性指数

④  カバー率指数

以上3点に関しては変更されず、従前の評価体系が継続される事となりました。

 

 

⑤  救急医療指数

救急医療指数は、救急医療(緊急入院)の対象となる患者治療に要する資源投入量の乖離を評価する指数ですが、平成25年度特別調査(ヒアリング調査)において、予定外入院の患者の重症度の判断は医療機関によって大きなばらつきがあると判断されました。

そこで、当該指数の評価対象となる患者をより公平に選定するため、救急医療管理加算との整合性を高めるため、救急医療管理加算を算定する患者(又は重症な患者が算定する特定入院料を算定している患者)を初日から算定している患者に対象を限定して評価する事となりました。

 

⑥  地域医療指数

都道府県における医療計画策定の指針の見直しに伴い、平成26年改定より、従前の「4疾病・5事業」に加え、「精神疾患」・「在宅医療」を追加した「5疾病・5事業+在宅医療」を対象として評価が行われました。

都道府県が策定することとされている「5疾病・5事業+在宅医療」の医療計画に係る関連事業のうち、急性期医療を担うDPC対象病院が担うことが期待されている役割にかかるものであり、入院医療において評価すべき項目であって、現時点で客観的に評価できるものに限って導入されました。

 メディカルタイムス7-3図 (3)

死亡順位第2位の心疾患、急性心筋梗塞の評価を導入すべきではないか、との意見を反映し、「病名が『急性心筋梗塞』であり、予定外入院であって時間外対応加算等が算定され、入院2日目以内に経皮的冠動脈形成術等が実施されている症例が一定以上ある医療機関」を実績により評価します。

また、4疾病に加え5疾病とされた精神疾患においては、精神科身体合併症の受け入れ体制の評価として「A230-3精神科身体合併症管理加算」又は「A313-3精神科救急・合併症入院料」の施設基準を取得している医療機関の評価を新設しました。

⑦  後発医薬品係数(新設)

「社会保障・税一体改革大綱(平成24年2月17日閣議決定)」に基づいて作成されている「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」において、後発品の数量シェア60%以上が目標値として設定されている事を踏まえ、DPCデータによって「数量シェア(新指標)」によって算出し評価上限を60%として評価する事となりました。

 メディカルタイムス7-3図 (4)

 これまで、後発医薬品の割合は金額ベースでの算出が主体で、金額の大きいものを中心に切り替わってきましたが、数量ベースの評価が導入された事で経済的インセンティブがつくため、価格は安くても使用量の多い胃薬や整腸剤、睡眠薬などがどんどん後発医薬品に切り替わって行くことが予想されます。