平成26年度診療報酬改定 (1)
カテゴリ:
タグ:

 

平成26年度診療報酬改定

 illust4092thumb

平成26年度診療報酬改定では、消費税の増税に伴う補填が行われ、改定率は補填分込みで本体プラス0.73%、薬価・材料価格がマイナス0.63%、ネットプラス0.1%となりました。

 

消費税の増税への対応、という大きな課題はあったものの、団塊の世代が75歳以上の後期高齢となる「2025年の医療の姿」を見据えてのロードマップにおける初回の改定として大幅な変更のあった前回の改定と比べると、2回目の改定という事もあって項目数等を鑑みると全体的には小幅の変更に留まった改定、と言えます。重点課題も、例年は2点挙がっていましたが、今回は「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等」の1点に絞られ、前回、前々回の改定で重点課題とされ大きな点数配分が行われた「救急、産科、小児、外科等の急性期医療を適切に提供していくという観点も踏まえた、病院勤務医等の負担の大きな医療従事者の負担の軽減」がなくなっています(詳細項目においては、若干の評価がされています)。

 また、これまでの診療報酬改定は施設基準に代表されるストラクチャー評価が中心でしたが、今回改定は7対1入院基本料における在宅復帰率、ADL維持向上等体制加算におけるADL、褥瘡の評価などアウトカム評価を重視している事も大きな特徴です。急性期医療における施設の評価で病床機能等を誘導する手法が限界に近づいている、と思われる昨今、このアウトカム評価を重視する流れは今後も継続すると思われます。

 それでは、今回の診療報酬改定において重点課題から特徴的な項目について、数回にわたりご紹介します。

 消費税率8%への引き上げに伴う対応

 平成26年4月から、消費税率が8%に引き上げられました。これに伴い、仕入れにかかる消費税負担が増加することから、医療機関等に実質的な負担が生じることのないよう、診療報酬における対応がとられました。

表2

 

7対1入院基本料等

 7対1入院基本料は平成18年の診療報酬改定において、高度急性期医療を担う病院への評価として鳴り物入りで新設されましたが、多くの病院が収入維持のため、病床のダウンサイジングを行ってまで参入しました。厚生労働省は前回改定において7対1入院基本料を算定する病床が政策とはかけ離れた形で増えている事に危機感を示し、10対1への誘導を始めましたが、今回は「特定除外制度の廃止」、という具体的な形で「確固たる理念もなく7対1入院基本料を算定している病床のふるい落とし」を行っています。

具体的には、以下のような見直しが行われました。

 ・特定除外制度について、平成24年度診療報酬改定で見直しを行った13対1、15対1一般病棟入院基本料と同様に7対1、10対1入院基本料においても廃止された

 ・「一般病棟用の重症度・看護必要度」について、名称を「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」とし、項目内容等の見直しも行う

 ・自宅や在宅復帰機能を持つ病棟、介護施設へ退院した患者の割合について基準を新設

 ・短期滞在手術基本料3について、対象の手術を拡大し、検査も一部対象とする。また、本点数のみを算定する患者について、平均在院日数の計算対象から除外する

 ・データ提出加算の届出を要件化

 注:特定除外制度とは

 入院期間が90日を超えた場合、通常の入院基本料の算定ができず、点数の低い「特定入院基本料」を算定する決まりですが、特定の病態にある患者(難病患者等入院診療加算を算定する患者、重傷者等療養環境特別加算を算定する患者等)については、特定入院基本料の算定対象、平均在院日数の計算対象から除外するというものです。